地域ゼネコン間の「実質経営統合」による各社の窮境要因からの脱却

業種

企業A、Bともに総合建設業(地域ゼネコン)

規模

企業A=年商約20億円、従業員数約40名
企業B=年商約10億円、従業員数約15名

状況

企業A
バランスシートは実質的にも資産超過を確保、金融債務はやや過剰ではあるものの個人資産含めれば相応の資産背景もある状況。
一方で本業収益力が弱く、個別工事利益率が低く、かつ受注量も目標水準の確保が厳しい状況。
企業B
実質債務超過、資金繰り逼迫にあり、実質破綻の状況も、公共事業に対する営業力が強く、一定のリストラが図れれば収益力の大幅改善も図れる状況にあった。

スキーム等

同一県内にある同業者、主力取引行も同じという状況下、企業Aについては営業力の強化による収益力の抜本改善を要する状況にある一方で企業Bについては財務上実質破綻状況につきなんらかの再生手続きを行うか、単純な経営破綻を選択せざるを得ないという客観情勢にあったため、両社の「良い部分」の組み合わせ如何によっては企業Bの事業再生が図れるとともに企業Aの経営安定化も図れるという構想を描くことができた。
しかしながら単純に2社の合併となれば企業Bの財務を継承してしまい、財務体質の悪化を招くことになることから、スキームとしては企業Bの事業のみを企業Aに対して事業譲渡する一方で企業Bにおける公共工事の施工実績や経営事項審査の評点対象事項については「合併」と同様に企業Aに統合させる手続きをとることとした。

結果

結果としては企業Aを存続会社とする「合併」として業界内認知を得ることに成功し、公共事業の受注力に大きく影響する経営事項審査得点に影響する完工高等の数値の合算や工事実績の継承を図り、また企業Bにおける公共事業に対する営業力を活用することによって、「実質的な事業統合」に成功した。