複数製造委託先からの協力により破綻を回避、事業の継続性を図ったベンチャー製造業
業種
機械製造業(ファブレス)
規模
年商約1.5億円、従業員数1名(社長含め常勤役員あわせた3名で運営)
状況
社長が創業、約5年間にわたり特殊な検査装置を設計/企画し、各製造委託先を活用し製造、出荷する事業モデルを継続していた。
ピーク年商は5億円程度まで行くも、海外への輸出取引に依存した結果、代金回収トラブルが発生、回収のためのアフター対応(社長自ら長期海外出張対応)に追われ新規受注ができないという悪循環に陥り、金融債務のみならず、製造委託先への買掛金も滞留、損益の悪化に加え、バランスシートの不健全な肥大化と債務超過を招き、1ヶ月後には資金繰り破綻を起こすという状況に相談を受けた。
スキーム等
まずは、翌月末に予定されている各製造委託先への支払いができないという状況を解決すべく、支払先別の債務残高と日繰りベースでの詳細資金繰表を作成、それぞれの支払い先において「仮に支払ができないとどうなるか?」の検証を行う。
検証を踏まえ、早速金融機関に対して暫定リスケを申入れ(金融円滑化法制定以前につき相応の資料と交渉を要する時期であった)、同時に金額の大きい製造委託先に対する支払についての分割延払い交渉の準備を開始、相談から2週間後には金融債務の暫定リスケ(元本返済の停止)を果たし、主要製造委託先との交渉に着手した。
製造委託先は必ずしも足並みがそろう状況とならなかったため、「債権者説明会」を複数回開催、同じテーブル上にてご協議頂きご理解を得るとともに、一部大口先については、新規受注品以降、プロジェクト契約を締結、製造コストのファイナンス支援を頂くとともに、各受注毎に発生した利益を過去債務に充当していく旨の合意を取り付けることにより、新規受注も順調に進めることができた。
一方で安定的な収益源となっていた「部品販売」を収益の柱として整備すべく、海外の輸入元との仕入条件安定化交渉へも同行、当該部品販売の強化、安定化を図ることにより、不安定な新規機械製造については「背伸びした受注」を回避することによって、小規模事業者でいながら一定の収益を獲得できる構造への転換を図った。
結果
社長もあえて自宅を処分する等不退転の決意をもって事業再構築に邁進、当初の目論見通り、主要製造委託先から「分割延払い」への合意やプロジェクトファイナンスによるご支援等を頂くことができたことから、資金ショートによる経営破綻を回避するとともに、少人数かつ製造拠点を持たない現状にあわせ、「地に足着いた事業構造」への転換を図ることに成功。事業の継続を図ることができた。